「3秒前の男【後編】」

この画像は、陸上競技場のフィニッシュラインの前で、レースを走り終えた男女が喜びの表情を見せている場面です。

 34キロ地点の関門をわずか2分前で通過し、タカシさんもこの辺りで合流する。
 最後の区間はペースダウンしながらも必死で走り続け、残り2キロあたりで制限時間まであと15分。
 そこからのラストスパート。
 坂道を下っていくと山下交差点突き当たり左折する。息はあがり心音がどんどん早くなる。奥武山公園の入り口を右折。ここからゲートまでの道がすごーく遠く感じた。
 最後のコーナーを息絶え絶えで曲がると、10秒カウントダウンシャウトが聞こえてくる。思考は真っ白、さらに加速、「足を動かせーー!!」伴走の根間さんとの左手のロープに力が入る。最終関門ゲートが見え5秒前でタカシさんが人間鎖をガードする体制に出たその時、再びセーラームーンが右手を前に引っ張る。「もう少しだよ頑張れー!!」制限時間3秒前「仲村さん抜けたよ!やったー!」根間さんの叫び声と共に花火が上がった。
 なんとも言えない感動が込み上げてやばかった。
 両手を膝上に置き、前傾姿勢で呼吸を整え落ち着いた時、名前も知らないセーラームーンの彼女の姿はもうなかった。「セーラームーン沢山の応援ありがとう。。」と心の中で呟いた。
 最後のトラックをゆっくり歩き、3人で手を繋ぎバンザイ青空を仰ぎながらフィニッシュ。
 ゴール後は伴走者とハグして喜びを分かち合い、感謝の気持ちでいっぱいに。
 タカシさんからメダルをかけてもらった。
 ふと振り返って、これまでのみんなの支えとか想いが詰まった重みを感じた。
 メダルは西陽に照らされ特別輝いて見えて目頭が熱くなる。

 「やったー完走したぞー!、」本当に実現した。

 「NAHAマラソン最高!!」

 感動をありがとう!

 第38回NAHAマラソン 完走記 「3秒前の男」

2019年度卒業生 仲村 康貴(ナカムラ ヤスタカ)

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