📘 点字記念日講演「6点式点字の考案から200年」
- 普及の足跡を振り返り、今後を考える -
【はじめに】
沖縄盲学校では毎年11月1日の点字記念日にあわせ、点字記念日集会を行っています。
今年度は、日本点字図書館の長岡理事長に、Zoomにてオンライン講演会をお願いしたところ、お忙しい中お引き受けくださいました。この度のご縁に心より感謝しております。
当日は「6点式点字の考案から200年」という節目の年を迎え、点字の歴史と現在、そしてこれからについて、ルイ・ブライユの功績から日本の点字普及の歩みまで、幅広くお話しいただきました。
長岡先生のご好意により、「点字」を広く知っていただきたい思いから、本ページに講演内容の一部を記録として掲載することにしました。音声記録が十分に残せなかったため、講演内容の録音を日本語文字起こしアプリ「Notta(ノタ)」で文字に変換して整理し掲載します。

【講師紹介】
長岡英司(ナガオカ ヒデジ)氏は1951年1月、東京生まれ。12歳のとき視覚障害となる。
東京教育大学附属盲学校を卒業後、点字受験により立教大学理学部数学科へ進学。大学院修士課程修了後、企業勤務を経て、国立職業リハビリテーションセンターに勤務。
1994年に筑波技術短期大学助教授、2006年より筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター教授を務め、2014年に同大学を定年退職。同年より日本点字図書館の副館長、館長、理事長として、点字・録音・デジタル図書の普及と視覚障害者支援に尽力されています。
【講演内容】
1. 点字以前の読み書き手段と6点式点字の誕生
点字が生まれる以前、視覚障害者の読み書きには、浮き出し文字や糸の結び目、刻字、紙を突き破る方法など、さまざまな試みがありました。しかし、どれも実用性に乏しく、広く定着するには至りませんでした。
こうした中、5歳で失明したフランスの青年ルイ・ブライユは、16歳のとき、6点の組み合わせで文字を表す「6点式点字」を考案しました。
これは、軍事用に考えられた12点式「夜の文字」をもとに、指で触れて読みやすい形へと改良したものでした。
6点式点字がパリの盲学校で正式に認められたのは1854年。
考案から約30年後、そしてブライユの死後のことでした。
2. 日本点字の成立と普及
日本点字が制定されたのは1890年(明治23年)11月1日。
現在の筑波大学附属視覚特別支援学校(当時の東京盲学校)で、石川倉治氏の案が採用されたことに由来し、この日が「日本点字制定記念日」となりました。
日本語に点字を当てはめる過程では、8点式も含めたさまざまな案が検討されましたが、読みやすさ・書きやすさを重視し、6点式が採用されました。
その後、拗音・促音・撥音などの表記が整備され、1922年には点字かなづかいの基礎が確立されていきます。
3. 点字用具とデジタル化の進展
1890年代には国産点字板が登場し、点字印刷機の導入によって点字図書の大量生産が可能になりました。
1950年代以降は、点字タイプライター、点字プリンター、そしてコンピューターによる自動点訳が進展し、日本は世界的にも早い段階で点字のデジタル化に取り組んできました。
点字ディスプレイや点訳ソフトの発展により、現在ではICTと点字を組み合わせた活用が広がっています。
4. 社会の中での点字
点字は、学習や読書だけでなく、投票、試験、就労、日常生活のさまざまな場面で活用されています。
食品、医薬品、交通機関、公共施設などに点字があることで、安全性と生活の質が支えられています。
録音や音声読み上げが普及した現在でも、「正確に読む・書く・考えるための文字として、点字は不可欠」であることが強調されました。
5. 日本点字図書館の役割
日本点字図書館(新宿区高田馬場)は、1940年、本間一夫氏によって創設されました。
現在は、点字図書・録音図書・デジタル図書の提供、ICT訓練などを通して、視覚障害者の学びと生活を支えています。
【後輩のみなさんへ】
講演の最後に、沖縄盲学校卒業生であり、現在日本点字図書館職員として活躍する宮城かし子さんから、沖縄盲学校の幼児児童生徒へメッセージがありました。
沖縄盲学校と日本点字図書館の共通点は、「創立者が視覚障害当事者であること」、「自分たちの文字を持つことの大切さを伝えてきたこと」です。
11月1日の点字記念日にあわせ、「自分と点字との関わりを、改めて振り返ってほしい。」とお話されていました。
宮城さんは、点訳ボランティアが作成した点訳データを構成したり、選挙広報など行政資料の点訳などを担当されているようです。
【生徒会長あいさつ】
若くして点字を考案したルイ・ブライユの行動力と、今も進化し続けている点字の歴史が印象に残りました。
点字に触れ、学べる環境に感謝したいと思います。
【おわりに】
点字が生まれて200年。
「自分たちの文字を持つこと」の意味と価値を、改めて見つめ直す機会となる講演でした。
点字記念日にあわせ、このページをご覧になられたみなさんにも、それぞれの点字との関わりについて考える機会にしていただければ幸いです。